emi's story(6)
目を覚ますと病院にいた。
身体が痛い。
emiは目の前に逆走してきた車の車種をかすかに思い出していた。
若い男性で笑みを浮かべてかなりのスピードで突っ込んで来た。
薬でもやってるんだろーか?
そう思った瞬間強い衝撃とともに目の前が真っ暗になった。
タクシーの運転手は大丈夫だろうか?
頭の中で考える事は可能だが、体は動かせなかった。
これが現実なのか。
さっきまでデイヴィッドの懐にいたはずなのに。
emiは涙が出る。
目を開ける事は出来ないが看護師や医師の話は聞こえてた。
看護師は言った。
この患者さん聞こえてるかな?
聞こえてないんじゃない?運ばれてきて2日も意識ないみたいだけど。
タクシーに乗ってて事故に会うなんてお気の毒。
でも命助かったから良い方だよね。タクシーの運転手は亡くなったから。
そうなの?
うん。警察があの車の潰れ方で命助かったのは奇跡だって言ってたのを聞いたよ。
凄いね。
加害者は外国人の男性で薬やってたそうだよ。勿論亡くなったけど。
酷い。
看護師は一通りバイタルや怪我の様子を確認して部屋から退出した。
何もない病室に1人取り残されている。
思うように動く事は出来ず、なんか体がすっぽり入る棺桶の中にいるみたいだ。そうemiは考えてた。
昔見た映画。
リミットと言う映画だ。
棺に入れられて土の中に埋められている内容だった。
その主人公の息苦しさを何となくわかった気がした。
しばらくしてemiは病室の椅子に座っているインド系の男を見た。
この間はどうも。
何故か男は挨拶した。
これも夢?
残念ながらこれは現実。受け入れて下さい。
私は空港に行かなくてはいけない。
まぁ、しばらく無理です。
絶望感しかなかった。
あなたは誰?
おそらくあなたが自分の脳の中で作り上げた物かと。
私が?
必要な時にもし出てきてるのであればあなたは意識してると言う事ですね。
意識?
勿論それは好意があるとかそう言う意味の意識ではなくて、必要って事ですかね。
体の痛みが強くなって、emiは顔を歪める。
痛いのですか?
はい。
それはいい事です。全く痛くないのでしたらもうあなたは亡くなってるって事だから。
亡くなって、、、
いい事、、、
全く、、、
男の声がエコーがかかって聞こえると思ったら私は目を開けて病室の天井を見ていた。
全身の痛みは強くナースコールをした。
どうされました?
痛くて眠れません。
本人ですか?
はい。
今行きます。
ナースは走ってemiの病室へ向かった。