emi's story(5)
飛行機はまだ離陸すらしてなかった。
かなり長い間夢を見ていたのだろうか?
しかしこの飛行機さえも違和感を感じていた。
何が違うのかよくわからないまま、飛行機は離陸した。
emiの隣の席は空いていた。
機内食を食べ終えてコーヒーを飲んでいると前の席の人が声をかけてきた。
隣りいいですか?
男は少し中近東の訛りがある。
いいですよ、どうぞ。
男はemiの近くに座った。
よく見ると彫りの深いインド系の顔をしていた。
1人で乗ってたけどなんか寂しくて。
はぁ。
私の話し相手になってくれません?
日本語上手ですね。
一応世界中飛び回ってるので。
インド系のその男は手に持っていたお水をゴクリと飲んだ。
実はあなたに謝らなくてはいけない事がある。
初対面で謝られる覚えはないですが。
今、現在のこのやりとりはあなたの頭の中の妄想です。
え?
目を覚まして下さい。手遅れになる前に。
何を言ってるの?
その瞬間、身体が痛くなった。
そして鼻をつく焦げ臭い匂い。
emiは気がつくと事故直後のタクシーの中にいた。